プロローグ/ 少女が望んだモノ。少女が手に入れたモノ。
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少女はたった一人でした。
・・・そこは陽の光の届かない、深い、深い、大地の底。
そこには少女のほかには誰もいないし、何もありません。
少女は、孤独でした。
いつからそこにいるのか、自分でもそれがわからないくらい
とても長い、長い時間が流れていました。
少女は、孤独と、とても深い悲しみに包まれていました。
少女は、そこから抜け出したいと、何度も、強く願いました。
でも、それは許されませんでした。
・・・どうして、こんな事になってしまったのだろう?
少女は、何度もそう思うのです。
―私は、こんな事・・・望んでない―
―私が欲しかったのは、ひとつだけ。たった、ひとつだけ・・・―
―“温もり”が欲しかった。ただそれだけなのに・・・―
・・・そこは陽の光の届かない、深い、深い、大地の底。
今日も少女は、暗く冷たい岩肌の天上を見上げながら。
その、岩壁の隙間から見える黄色い満月を見ながら。
叶う事のないその願いを口にするのです・・・。